運命への追撃

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 ところが、この地でも哀れな三男坊は[運命]に逃げられた……  後の時代に長い目で見れば「戦乱の世」と記される程の戦の歴史ではあるが、実のところは局地的に見れば、「其処彼処(そこかしこ)で何らかの戦が起きているだろう」という程度とも云える……  そしてその戦いの規模も、稀にしか起きない千もしくば万単位の動員が予想される「国家存亡をかけた大戦」もあれば、むしろこちらが主流と思われる敵味方合わせても百を越えない「農村同士の大喧嘩」程度のものまで非常に幅が広い……  そして、若様が巡る戦場(いくさば)は……どちらかと云えば後者であった……  あれから一年が経ち、今は西方歴八〇八年―― すなわち「冒頭に戻る」というやつである――  若き遍歴操縦士は未だ求める戦場に巡り合えていなかった……  そう、占い師の云うところの[宿命]通りに……
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