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終決
食べ始めて10分が経過していた。
私は頑張って納豆を食べた。
息子も頑張ってなすの煮浸しを食べてくれた。
嬉しかったけど、私と息子はまだ泣いていた。
そりゃそうだ。二人して嫌いな食べ物を克服出来たのだから……。
「さぁ、明日からいろんな料理作るわよ」
そう言いながら、私は涙を拭いた。
「僕いっぱい食べるよ。とりあえず、カレーライスとハンバーグおかわり」
「ちょっと待って、私まだ納豆しか食べてないのよ」
涙を拭きながら、おかわりを要求する息子に、私は強い口調で言い返した。
息子と目があって、クスクスと笑う。
息子も笑っていた。
「ごはん食べよう」
そう言って私は、台所に向かった。
結局、私は主導権を握れなかった。
騙された気分も拭えなかった。
けど、素直に喜ぶ事は出来た。
息子が食わず嫌いを克服出来たからだ。
私も嫌いな食べ物を克服出来た。
「結果オーライ」
そう考える事にした。
それともう一つ、今日は記念日になった。
なので、私は今日と言う記念日をこう名付けた。
「母子食わず嫌い卒業記念」と……。
(完)
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