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森の手回しオルガン
森の中のポッカリと開けた小さな広場。
うさぎやリス、小鳥といった小動物から、熊や鹿まで集まっている。
その真ん中で手回しオルガンのハンドルをゆっくりと回し始めた少年。
その姿はどこかで見たことのある煙突掃除の少年のよう。
まるで大聖堂にあるパイプオルガンのようなパイプから、美しい音色とともにカラフルな小さな光が夜空に打ち上げられていく。
月しかかなかった空は瞬く星であふれ、流れ星となったその一部ががまた地上に降り注ぐ。
少女の姿をした人形が音楽に合わせて踊り歌う。
流れ星はその歌に引き寄せられるように落ちてきて少女のエプロンに集まった。
夜明けが近くなり少年はハンドルを回すのをやめた。
気がつくと少女のエプロンには甘い香りの金平糖。
切り株に座る二人を囲む動物たち。
小さな金平糖をほおばり、動物たちはゆったりとくつろぐ。
怪我をしていた小鳥の傷はいえ、空腹だった熊も一粒でお腹が満たされ幸せに酔いしれる。
少年に恋をしていた少女は人間の体を手に入れ、少年の服は先程までのようにうすよごれてはいない。
残った金平糖は金貨になった。
仕事を終えたふしぎなオルガンは消え、二人は手を取り合って森を抜ける。
2023-02-11
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