16人が本棚に入れています
本棚に追加
「美都、元気かい?」
「ええ。ようやく少しずつ、一人で出来ることが増えてきたんです」
「そうか、よかった」
『よかった』と口にしながら、兄さまはちっとも笑ってくれません。
「兄さま?よろしければ座りませんか?」
わたくしの隣を指し、兄さまに問いかけます。
兄さまは少し躊躇われた後、そっと隣に座りました。
「兄さまは、どうしてこちらに?」
「おまえがどうしているか、心配だったからだよ」
「心配?それはどのような事?」
「それは……」
口を閉ざし、わたくしから目を逸らしてしまいました。
「兄さまは、嘘がつけないお方ね」
最初のコメントを投稿しよう!