人見史利くんの初恋

1/4
前へ
/15ページ
次へ

人見史利くんの初恋

「よぉ、人見(ひとみ)! お前からメールが届く日が来るとは思わなかったぞ」  近所のマックに呼び出された俺は、見知った顔を見つけて手を挙げる。その瞬間、人見は目をそらし他人のふりを決め込んだ。 「おい、人を呼びつけておいて無視すんじゃねぇ! 俺が『友達いないくせに人気者ヅラしてる痛い奴』みたいな空気になるだろうがよ!?」  俺は観葉植物に同化している人見に向かって語気を荒らげた。 「や、やめろ! 悪目立ちするだろ!? 溶ける、視線で溶ける!」  この『人見(ひとみ)史利(ふみとし)』と俺はいわゆる幼馴染ってやつだ。 『名は体を表す』を体現した男……とにかくこいつはその名の通り、極度の人見知りなのだ。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

60人が本棚に入れています
本棚に追加