#03 浮気

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「え!まじでガチで浮気されてたのお!?康隆くんってば、あり得ない!」  顔を合わせるやいなや、うわあんと泣きついてきた美蘭に、あずさは怒りの感情を露わにした。 「大学二年の時から三年も付き合っておいて、こんな仕打ちしてくるの!?美蘭なんか言い寄ってくる男、いっぱい断ってきたのにね!」  あずさの胸元で、涙を流し続ける美蘭。つい先ほど見てしまったリカとのトーク画面が、目に焼き付いて離れない。 「にゅ、入社してから態度が変だなあとは、思ってたのっ……」  ヒックヒックと乱れた呼吸の合間を縫い、彼女は思いの丈を吐き出した。 「な、なんか会話も全然弾まなくなったし、仕事の話ばっか聞かれて。そ、それ以外は興味なしって感じで……」  美蘭、仕事の調子はどう?  人間関係はうまくいってる?  仕事楽しい?  主婦は天気をネタに会話をもたせるけれど、康隆は仕事の話でその場を凌ぐ。学生時代とはガラリと変わった会話の内容に、美蘭は戸惑いを覚えていた。 「スマホも頻繁にチェックするようになったから、怪しいとは思ってたけど……」  けどもしかして、まさか、とこの状況下でも疑ってしまうのは、康隆のことが好きだから。彼がこんなことをする人間ではないと、美蘭はまだ信じたい。  華奢な身体、震えている。あずさは彼女の背を撫でる。 「ここ最近、美蘭ずっと不安がってたもんね、康隆くんの行動」 「ん…」 「入社してからーってことは、リカと康隆くんの出逢いは会社ってこと?」 「わかんない……もしかしたら会社の人たちと夜のお店とかに行って、そこで出逢ったのかもしれないし」 「そっか……どうするの?もう、別れるの?」  そこで途切れたふたりの会話。優しい温もりが背にあてられている間、美蘭はこんなことを思う。
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