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「今日は美蘭の家でご飯でよくね?」
それから数日後。ふわあっと長い欠伸をした康隆が言う。
「こっから美蘭のマンション近いし、今からわざわざ店探すより、そっちの方が楽じゃん」
ふたりの休みが揃った今日は、昼から久々の映画デート。この後軽くショッピングでもして、どこかに夕飯でも食べに行きたかった美蘭だったが、それは眠そうな康隆を目に、言の葉には乗せられなかった。
「康隆、映画観てる時も寝そうだったけど、疲れてるの?」
「んー、ちょっと。でも土曜は大体こんなもんだよ。美蘭と違って俺は、月から金まで五連勤だから」
「そっか、そうだよね」
ふわあっとまた大きな欠伸をされて、なんだか義務感だけで一緒にいられる気になってくる。
「じゃあ、スーパー寄ってこ」
それでも美蘭が「今日はもう帰ろうか」と言いたくないのは、まだ好きな人と一緒にいたいから。ひとりになれば、襲われる不安。リカとのメッセージを見て以来、彼女の眠れぬ夜は続いている。
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