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「ああ俺、明日は無理だごめん」
ピロートーク中のこと。明日の予定を聞いた美蘭に、康隆は悪びれもなくそう言った。
「ど、どうして?」
「んー、ちょっと」
「仕事は休みなんだよね?夜だけでも、会えないかなあ」
「てか美蘭は仕事だろ?今日もこうして泊まってんだし、そんな無理して毎日会わなくてもいいじゃん。疲れちゃうよ」
おやすみ、とぶっきらぼうに、寝返りをうつ康隆。彼の後頭部を見つめる美蘭の瞳からは、ぽたりと雫が垂れていく。
リカと会うくせに……
彼女がその予定を把握したのは、またもや覗いてしまった康隆のスマホによって。
『明日は丸一日一緒にいられるね、楽しみ〜!♡夜のホテルはリカが選んでいー?ネットでいいとこ見つけたんだ♡』
自分よりもリカを優先されたのは、これが初めてだった。いつの間にやら逆転していた立場に、美蘭は一晩泣き続けた。
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