☆15. ソウルだぜ

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☆15. ソウルだぜ

「うわぁ。来てみたかったのここ……!!」  カメラを持つ手がふるえるほどに興奮している。淡いピンクやブルーを基調としたファンシーなカフェにて写真を撮りまくる。天井からぶら下がるかざりに……クッションのたっぷり乗ったソファー。それからあまくて美味しいデザート。たくさん並んだ丸テーブルと椅子のセットはあまりに可愛くて。迷い込んだアリスになった気分だ。今際の国ではないほうの。  韓国はソウルを訪れている。先週、桐島に、パスポートの有無を尋ねられ、そこからわずか二週間弱の所業だ。……出来る男はなんでもスピーディーにこなせる。そう。例えば長谷川祐のように。 「……セルフィもいいけど。撮ってあげるよ」  桐島に言われ、うん、とスマホを手渡し、たくさんの写真を撮って貰う。後でじっくり眺めて幸せを堪能する。……うん。あたし、幸せ……。好きなひとと。大好きなひとと、こんな素晴らしいところに来られて。
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