小学校編

1/7
前へ
/13ページ
次へ

小学校編

通せんぼの記憶  私の中の1番古い記憶は、小学校2年生の頃。当時の私は、勉強が大の苦手で、いつも居残り授業をしていた。  あの日は、天気が良くて、私は居眠りをしてしまい、先生から、1時間のお説教を受ける羽目になり、2人っきりで教室にいた。  そして、先生のお許しを貰って、身支度を整え挨拶をする。  ここまでは、いつもと同じだった。   「先生、さようなら」 「はい、さようなら」  担任の、山木優美(やまきゆみ)先生は、お父さんと同じ年くらいで、結婚し、私たちと同じ年の子供がいる。1年生の頃から、担任だったので、私は山木先生をとても信用していた。  私が通っていた第二学園。2年1組の教室は、南校舎の二階で、隣は5年1組、そのまた隣が5年2組だった。  家に帰ったら友達とゲームをする約束をしていたので、走って5年生側の階段を降りており、前を見ていなかった。  (ドン!)  案の定、前を走っていた5年生のガキ大将、柿永蓮(かきながれん)にぶつかった。 「いってぇな」  蓮先輩は、 私の家の近所に住んでいる有名なガキ大将で、小学生の誰もが恐れている先輩だった。その先輩を怒らせたのだから、後が怖い。 「ご、ごめんなさい」  怖かったけれど精一杯の力を振り絞って謝った。許してくれると思ったのだが、先輩の顔は般若(はんにゃ)のように恐ろしく、絶対に許してはくれないことを悟った。 「あ?」  やはり、許しては貰えない。何を言われるか怖いよ。  き、聞いてみたら教えてくれるかな? 「あ、あの……」  私がそう言うと、もっと怖い顔をして怒鳴りつけてきた。 「申し訳ございませんだろ?!」 「も、申し訳ございませんでした」  深々とお辞儀をしながら、先輩の方を見るが明らかに許していない。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加