青空基地

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「青空、基地?」 「ふふ、そうだよ。」 クスクスと笑いながら空を見上げる。 「ほら、彼処を見てみて。」 そう言って空を指差す。 「わ、…!」 その光景を見て僕は見とれる。 「カァーカァー…カァー」 「キィー、キィー…キィ」 鴉と白鷺だ。 鴉と白鷺が仲睦まじく飛んでいる。綺麗だ。 「鴉と白鷺…珍しいな…」 「この世界は、そういうのは関係ないんだ。」 関係ない、という言葉にはっとした。僕はいつの間にか"鴉と白鷺"が仲が悪いと思っていたようだ。 「う、…」 いつもの頭痛だ。 「…身体が透けてる。消えるの、かな?」 まぁ、消えれるなら、そっちの方がいいけど。 「やっと消えれる…」 独り言を呟く。 「消えたいの?」 後ろから声がする。 「…はい。」 感情のこもってない返事を返す。 「なんで消えたいの?」 「…なんででしょうね。」 自分でもわからない。なんで消えたいのか…わからない、。 「私は消えてほしくないな。」 は、と声が出る。 「…んで…?」 「なんで消えてほしくないのさ? 会ったばかりで僕のことなんかなんにも知らないくせに…ッ」 「うん、しらないよ。」 「じゃあなんで…?」 「なんかさ、」 「君は"消えたい"というより "生きる理由がない"んじゃない?」 「生きる、理由…?」 考えたこともなかった。 生きる理由なんて、 今まで、死にたいって思ってたから。そっか…。 「死にたいわけじゃ、なかったんだ。」
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