嬉し恥ずかし文化祭

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――そして、その時はやってきた。 「そこのおにーさん、こっち向いてー!」 他校の学生も含む一般客たちから、右京は嫌というほど声をかけられまくり、疲労困憊(こんぱい)していた時、 「あっ! みくたん! いらっしゃい!」 相原の嬉しそうな声が響き渡り、右京は条件反射的に物凄い速さでそちらを振り向く。 入口ドアのところには、天野と共にやってきた、愛しい美紅の姿が。 「美紅……!」 すぐに彼女の元に向かおうとして、 「おにーさん! 私のイケメンコーヒーにお砂糖入れて、ちゃんとあまーくしてよー」 右京を指名してきた女性客に引き止められ、舌打ちしたい気持ちを懸命に堪えて淡々と仕事をこなす。 そんな右京を入口に突っ立ったまま遠巻きに見ていた美紅は、 (あ、右京くん……カフェ店員さんの姿もお美しい……) 眼福とばかりに、その姿を目に焼き付けておくことにした。 あちこちの席から呼ばれて忙しそうな右京を横目で(うかが)いつつ、案内された席へと座る。 女子の先輩からもらった例の食券を相原へと差し出すと、 「一応指名も出来るけど、みくたんはいっちーだよね?」 憧れの美紅と一対一で話せて超がつくほどご機嫌な相原は、にこにこと微笑む。 「はい。でも……右京くんが忙しかったら無理にとは……」
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