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そんな彼の唇の端にたこ焼きのソースと青のりが付いていて。
「右京くん、こっち向いて」
美紅が、ポケットから取り出したティッシュペーパーでそれを優しく拭き取る。
見るからにラブラブな様子の二人の邪魔をしないように、天野と村田は階段の端をそっと通って、美紅と右京の数段下の階段に並んで腰を下ろした。
「はぁ……これでまだヤッてないって言うんだから、お前らマジですげーよな」
村田の突然の下ネタ発言に、紙パックのフルーツ・オレを飲んでいた右京が、
「ごはっ……!」
動揺して盛大に噴き出し、それが彼の数段下に座っていた村田にかかった。
「うわっ! きったねー!」
村田は慌てて立ち上がり、
「良かった。食べ物は無事」
天野は自分の分の食べ物の無事を確認し、ホッと溜息をついた。
「良くない! 俺の制服が汚れたんだぞ!」
村田が自分の体を指差して、
「あ、ごめん。今ハンカチないや」
今に限らずいつもハンカチなど持ち歩いていない天野は、自分のポケットの中身を確認することすらせずに言い放つ。
咳き込んでいる右京にハンカチを手渡した美紅は、
「あの、村田先輩。これ、良かったら……」
ポケットティッシュを村田へと差し出した。
「あ。ありがと」
素直に受け取った村田は、それで自分の制服をふきふき。
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