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二人分の衣服が床に散らばっている薄暗い部屋の中、そのベッドの上では、
「……あっ……!」
「美紅……可愛い」
右京に組み敷かれた美紅が、彼が腰を深く沈める度に声を漏らし、その眦から涙の粒を流す。
「……まだ痛い?」
右京の酷く心配そうな声に、
「んっ……少し。でも、すっごく幸せ」
美紅は相変わらず涙を流しながらも、幸せそうに微笑んだ。
「……っ、ダメだ。可愛すぎる!」
「やっ、待って! ……あ――っ!」
美紅の甲高い啼き声と、右京の幸せそうな艶っぽい吐息が重なって聞こえて――
涙を流したまま、気を失うようにして眠ってしまった美紅を、
「美紅……愛してるぞ」
右京が気だるい体に鞭を打ちながら、愛おしそうに抱き締めた。
その声が美紅に届かなくても、伝わらなくても別に構わない。
右京はただただ、
「美紅の全部が、大好きだ」
溢れ出てきて止まない感情を、口からだだ漏れさせていた。
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