余韻

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朝食を作る、とは言っても、右京はそんなに料理が出来るわけではない。 フライパンで目玉焼きとベーコンを焼いて、サラダはレタスを手で細かくちぎっただけのものにドレッシングをかける。 主食は、食パンをトーストしてバターと苺ジャムをお好みで。 スープはお湯を注ぐだけの即席タイプのコーンスープを。 飲み物は、過去に美紅が美味しいと言っていたロイヤルミルクティーを淹れる。 「こんなのでいいのかな?」 自分一人だけなら、朝はトースト一枚と紅茶だけで済ませてしまうけれど。 とりあえず美紅を起こしに行こうと、エプロンを外した時、 「右京くん?」 まだ少し寝ぼけているような、いつもよりもふわふわとした喋り方の美紅が、リビングに入ってきた。 「あ、美紅。おは――!?」 おはよう、と言おうと美紅の方を振り返って、右京は目の前の光景に驚いて言葉を失う。 眠そうな目を手で(こす)る美紅は、右京が昨夜に着せたスウェットのトップスを着たままの姿で。 別にそれはいいのだが……彼女はしか着ていなかった。 長身な右京の服を、小柄な美紅が着ると着丈が長いので、下着が見えそうになる心配はない。 ないのだが。 可愛く可憐で愛しい美紅が、寝ぼけ眼で“彼スウェット”なるものをワンピース風に着こなしているその姿は、右京には少々刺激が強すぎて。 「――っ」 うっかり気を抜けば鼻血くらいは余裕で噴きそうな気がして、右京は目眩でグラつく頭を右手でそっと押さえた。
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