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その力があまりに強すぎて、
「右京くん……苦しい、です」
美紅が低く呻いた。
「あっ、ごめん!」
右京は慌てて美紅を離したが、
「でも、やっぱり今抱き締めたい」
またすぐに、今度はふわりと優しく抱き締める。
いつになく甘えん坊な雰囲気の右京に、美紅は戸惑いつつも受け入れるしかなくて。
「右京くんって、ギャップあるってよく言われない?」
彼の背中に手を回して、そこを優しく撫でながら訊ねると、
「言われない。言われたことない」
右京の腕の力が、先程よりも少し強まった。
「可愛い、とかも?」
「……じいちゃんとか、ばあちゃんにならあるけど。何?」
右京は美紅を胸に抱いたまま、少しだけ不機嫌そうに問いかけた。
「うん……今日の右京くん、何か可愛いなって」
「……」
右京の腕の力が、更に強まった気がする。
「……美紅。可愛いっていうのはな、美紅のためにある言葉なんだぞ?」
そんな言葉と同時に、右京の右手が美紅の素の背中を撫でて、美紅はゾクッと鳥肌が立つのを感じた。
――パチンッ……
そんな小さな音と共に訪れる胸元の解放感。
「……ん……あ……」
背中にあったはずの彼の手が、美紅の素の膨らみを優しく包み込んで、美紅の口からは甘い吐息が漏れる。
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