余韻

14/18
350人が本棚に入れています
本棚に追加
/251ページ
「ほら。美紅の方が可愛い」 右京はニヤリと微笑むと、ソファーの上で美紅をそっと押し倒し、噛み付くようなキスを浴びせた。 その間ももちろん、彼女の胸元に触れている手は休めない。 二人のすぐ傍ではテレビが点いたままのはずなのに、その音や声は美紅の耳には全く入ってこなくなっていて。 「……んんっ!」 体の奥が熱く疼くような感覚に、美紅がぴったりと閉じた膝をもぞもぞと動かした。 「下も、触って欲しい?」 「!」 美紅が真っ赤に染まった顔を慌てて右京から背けたが、 「可愛いなぁ」 嬉しそうに微笑んだ右京が、彼女の体をひょいっとお姫様抱っこする。 「やっ……私、重いよ!?」 美紅は慌てて抵抗したが、 「大丈夫。絶対に落とさないから」 右京はそのまま、二階にある自室へと美紅を強制連行。 彼女をベッドの上にそっと寝かせて、 「もうゴムもないし、昨日の今日で辛いだろうから、今日はもう抱いたりしないけど」 意地悪そうな、妖艶な笑みを浮かべた右京が彼女の上に覆い被さる。 「美紅のことは、このまま放置なんてしないからな」 「まっ、待って、右京くん! ……あぁっ……!」 右京は宣言通り、美紅の熱く火照った体を丁重に可愛がったのだが…… (右京くんと一緒がいいのに……!) そんな美紅の願いは、この日は彼には届かなかった。
/251ページ

最初のコメントを投稿しよう!