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お色気大作戦
学校内のお祭りムードもすっかりと落ち着き、いつも通りの日常に戻ってきたなと感じるようになった頃。
「むー……」
学校からの帰り道に寄ったカフェの店内、そのソファー席に座った美紅が、不服そうに頬を膨らませた。
そんな美紅の向かいの席に座っているのは、
「今度は何なの?」
今日はアルバイトが休みな天野。
二人でケーキセットを注文し、美紅はモンブランを、天野は苺のミルフィーユを食べる。
今日は、右京に送ってもらうのは予め断りを入れてある。
その時の右京の返事は、
「……そっか」
という、どこか上の空気味で、冷たい印象を持ってしまうようなものだったけれど。
付き合っているからといって、絶対に一緒に帰らなければならない決まりなんてないし、それは別に構わないのだけれど。
「右京くんが、また私と距離を置くようになっちゃって」
初めてキスをされた時にのように、右京はまた美紅を遠ざけるようになっていた。
遠ざける、とは言っても、毎日の登下校は一緒だし、休み時間に会いに来てくれるのも相変わらず。
ただ……美紅と密室で二人きりになるのを避けたがるようになったのだ。
「私が貧乳な上に下手くそだから、もう女として見られなくなっちゃったのかな……」
思いも寄らぬ美紅の発言に、
「ぶっ……!」
ミルフィーユを食べていた天野の口から苺が飛び出した。
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