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それは行儀よく再び皿の上に戻ってきて、
「ちょっと、間宮!」
天野は慌ててそれを口の中に戻す。
「右京くんが私のこと今も凄く大事にしてくれてるのは分かってるんだけど……そういうことした途端にってなると、不安になっちゃう」
「……」
美紅の気持ちも右京の気持ちも、二人を一番近くで見守っている天野にはよく分かるので、
(これは、何と声をかけたものか…… )
と、激しく悩む。
そこへ、
「やっほー! いたいたぁ」
どこからともなく自然に現れた川上が、自身の通う学校の制服姿のまま、美紅の隣にストンと腰を下ろした。
「えっ? 川上先輩?」
「なんで?」
驚く美紅と天野に、川上はニコッと妖艶に微笑むと、
「あーっ。すみれちゃんのミルフィーユ、美味しそう! 私もそれにしようっと」
店員を呼び、ミルフィーユとホットコーヒーのセットを注文した。
「二人ってこのお店好きだねぇ。ま、確かにここのケーキ美味しいもんね」
川上はニコニコと笑うが、二人の疑問の答えにはなっていない。
以前に川上が乱入してきた時も、確かにこの店だったのだが。
「美紅ちゃん、この前、色気について悩んでるってメッセージくれたでしょ?」
天野は川上のその一言で、美紅が普段から彼女と連絡を取り合っているのだと初めて知った。
「だ・か・ら。私がお色気伝授してあげよっかなって」
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