366人が本棚に入れています
本棚に追加
――いや、別にそこまではしていらんだろう、右京先輩は間宮にベタ惚れなんだから。
と、天野が言おうかどうか悩んでいると、
「はい! 是非お願いします、師匠!」
目の前の美紅は、川上の右手を両手でがっしりと掴んで頭を下げている。
「落ち着け、間宮。川上先輩も受験生なんだぞ」
「あっ、そっか……」
天野は何とかして美紅を窘めようとしたが、
「ありがとう、すみれちゃん。でも私、ウェディングプランナーの専門学校に推薦で願書出して、もう合格通知ももらってるから」
川上は優しげな笑みを天野へと向けた。
「ウェディングプランナー!? カッコイイです!」
美紅のキラキラと輝く目を見て、川上はふふっと優しく微笑む。
「美紅ちゃんが結婚する時も、私にお式の担当させてね」
「えっ。私……」
右京とのことで悩んでいる真っ最中の美紅は目を伏せ、
「市川くんのこと、美紅ちゃんのお色気でメロメロにしようね!」
川上は悪魔のような妖艶な微笑みを浮かべた。
(わー……この人、絶対に右京先輩で遊んで楽しむ気だ)
天野はそう思ったが、彼が過去に彼女にしてきたことを思えば仕方がない気もしたので、何も言えなかった。
最初のコメントを投稿しよう!