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――作戦の決行は、午後から大雨との予報が出ている日になされることに。
この日、美紅はわざと傘を持たずに家を出た。
……川上からのアドバイスは、実はこれだけ。
そして、右京の方は朝からきちんと傘を持参して家を出たのだが、
「悪い、いっちー! 傘忘れたから貸してくれ!」
今回の作戦には一切無関係の相原が、純粋に傘を忘れて右京の傘を借りていってしまったのだ。
右京は、
(まぁ、美紅はいつも折りたたみ傘持ってるしな)
と軽く考えていたので、その時は特に何も気にしていなくて。
さぁ帰ろうという時になって、
「あの、右京くん……私、今日傘忘れちゃって」
美紅の申し訳なさそうなその一言で、
「……そうか」
右京は、バケツをひっくり返したような雨を降らし続けている黒々とした分厚い雨雲を、切なげな表情で見上げた。
美紅の傘をアテにしていた自分が悪い。
だからそれは仕方のないことなのだけれど、
「美紅。駅まで傘なくても行けるか? 俺の家で服を乾かしていけばいいから」
美紅にこの大雨の中を走らせるのは気が引けたが、駅まで行かないとコンビニすらもないから。
「お家、行ってもいいの?」
驚いたように自分を見上げてくる彼女を、
「美紅をずぶ濡れのまま放っておけるわけがないだろ」
右京は優しく抱き寄せた。
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