366人が本棚に入れています
本棚に追加
――その翌日。
昨日の雨は嘘だったかのようにピタッとやんで空はカラッと晴れ渡り、澄んだ蒼色がどこまでも広がっている。
そんな清々しく爽やかな朝の登校場面、駅から学校に向かう通学路で、
「本当にアンタたちって、分かりやすすぎ」
呆れ返った天野の声が響く。
「……」
恥ずかしそうに俯く美紅は、美容のコンディションがすこぶるいいのか、肌も髪もなんだかいつもよりもツヤツヤ。
「……何のことだかな?」
その隣を歩く右京は、昨日まで元気がなさそうに見えていたのは何だったのかと思えるくらいに体調が良さそうで、超ご機嫌だった。
ただやはりというか、美紅の可憐さに惹かれてジロジロと見てくる男が多いので、右京の右手はしっかりと美紅の腰に回されている。
「泊まったわけではないだろうに、そんな短時間で何回したの?」
天野の鋭い質問に、
「……っ!?」
美紅は茹でダコ並みに顔を真っ赤に染めてあたふたし始め、
「天野。朝から下品な話をするな」
右京は涼しい顔でさらりと話題をかわす。
「すみません。朝じゃなければいいんですね?」
負けず嫌いな天野はニヤリと不敵に微笑み、
「……」
なんだか嫌な予感がした右京は、それでも現時点では何も言えず、無意識に美紅の腰を抱く手に力を込めただけだった。
最初のコメントを投稿しよう!