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「美紅から手を離せ」
右京はこちらの席にもう一歩近付きながら、先程よりも凄みを効かせた低めの声で告げた。
そんな右京を見て、向かいに座る天野は慌てふためいたが、川上はふふっと妖艶に微笑み、美紅からそっと手を離す。
「女の子の気持ちって女の子にしか分かんないからさぁ。美紅ちゃんも、こんな不能くんに触られるよりも、私の方が気持ち良かったでしょ?」
「えっ……」
「……」
突然の爆弾発言に、美紅は顔を真っ赤に染めたまま困惑し、右京は不快そうに眉根を寄せる。
「美紅。今日はもう帰るぞ」
右京が美紅の腕を引いて席から立たせ、美紅たちのテーブルにあった伝票をさっと抜き取る。
「美紅を返してもらう代わりに、ここは俺が払ってやる」
「あっ、右京くん、私も――」
私も払う、と言いかけた美紅の腰を、右京が不意にぐいっと強く抱き寄せ、
「因みに、お前らが知りたがってた回数だけどな……休みなくぶっ続けで三回だ」
真顔でそんな爆弾発言を投下。
「「嘘ぉ!?」」
嘘なのか本当なのか、絶妙に判断が難しいその答えに、天野と川上が同時に叫び、
「さぁ。どうだろうな?」
右京は意地悪げにニヤリとほくそ笑んだ。
「うっ、右京くん!」
右京の胸に抱かれたまま、顔を更に赤く染める美紅の慌てぶりから想像するに……多分、事実。
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