4 月音の能力(ちから)

18/27
前へ
/92ページ
次へ
「もちろんでございます!!」 「わたしのことも百合緋って呼んでほしい……だめ?」 「だめではないです! ゆ、ゆ、ゆ、百合緋……ちゃん」 (だめだ―――! 恥ずかしすぎる!) 沸騰しそうな顔を両手で覆うと、その手を百合緋につかまれた。 指の隙間から百合緋をうかがい見る。 目元に涙を浮かべた百合緋が、にこっと笑った。 「月音ちゃん、いじり甲斐があるわね」 「……ふえっ?」 「髪はサラツヤだし、お肌もつやもちだし、とっても素敵! ねえ……わたしに月音ちゃんのこと、任せてくれない?」 ――それがどういう意味か一瞬わからなかったけど、昼間の白桜の言葉を思い出す。 『着せ替え人形に――』。 ガッと、月音が百合緋の両手を掴み返した。 「よろしくお願いします百合緋ちゃん!」 +++ 「あー、つっかれたー」 「お前がバカなこと言わなきゃもう少し早く戻れたんだよ」 「やだね。白が受けてくれるまで言うね」 「……お前ここがどこだかわかっているか? 御門邸内ならお前を抹殺するのも簡単だが?」 「「怖いこと言うな(言わないでください)!!」」 煌と碧人に同時に怒鳴られて、白桜は不機嫌そうな顔になる。 神崎家で一通りの話をした白桜と黒藤は、煌に加え碧人も連れて御門別邸に戻ってきていた。 神崎家のことは碧人から月音に説明を――というのが、白桜と黒藤、二人の一致の意見だった。 碧人も、それを承知してついてきた。 「碧人様は月御門の家に来た事あるんですか?」
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加