4 月音の能力(ちから)

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「御門のご当主、小路の若君。大変お世話になりました。それから、ご迷惑をおかけしました」 頭を下げた碧人に、白桜が顎を引いた。 「解決するのなら問題ない。だが、真実を知らないことは時として罪になる。くれぐれもはかり違えないように」 「はい」 何十も年上の碧人に説教をする白桜は、かけらも臆したところがない。 大人相手の対応も慣れたもののようだ。 若年(じゃくねん)ながら御門流当主として、己の格を落とさずに。 「月音、これから大変だろうが、学内には俺と黒がいる。流派違いではあるが、力になれればと思っている」 白桜に言葉をかけられて、月音はキラキラした眼差しで白桜を見る。 彼氏になったばかりの煌、もやっとする。 (……いや、月音ちゃんの月御門慕いはこじらせてるくらいだし、今更とやかく言っても仕方ない。そう、仕方ない。そう思い込め、俺) 頭の中でどうにか片付けようとしていたら、不意に視線を感じた。 そのもとをたどると、月音が煌を見上げていた。いつの間に。 それから白桜を見る月音。 「ありがとうございます、白桜様。でも、小田切くんがいてくれるので、きっと大丈夫です」 不意を衝かれた。 月音の言葉は煌には予想外で、咄嗟に言葉を返せなかった。 「そうか。なら、心配はいらないな」 鷹揚(おうよう)にうなずいた白桜が、視線を煌に寄越した。 それに気づいた煌は慌てて首を縦に振る。 そう、俺がいるから大丈夫、と。
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