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付き合って一年の記念日だというのに、ルミちゃんの表情はどことなく暗く、なにかを思い詰めているようだ。
就職内定祝いも兼ねて、そろそろ身につけるものを贈りたいと思っていた僕は、アクセサリーショップへ誘導しようとしたものの、ルミちゃんの眉尻を下げた悲しげな顔を前に今日のところは諦めた。
気分転換に得意のクレーンゲームでルミちゃんの好きそうなぬいぐるみを取ろうかと打診しても、「残るものはイヤ」と潤んだ瞳で拒絶される。
挙げ句の果てに「タッくんに、話したいことがあるの……」と今にも消え入りそうな声で言い出すものだから、これはおそらくなにか大事な、しかも僕にとっては嬉しくない告白を受けるのだろうことは予想できた。
しかしどんな申し出があろうとも、僕には揺るがない自信がある。
予約したディナーまでは時間があるので、手近なカフェに立ち寄り僕たちは向かい合って座った。
注文を終えてからもルミちゃんの俯いた目は泳いでいる。叱られている子どもみたいで愛らしく、頭を撫でたいなあ、と手を伸ばそうとしたところで店員の声が割り込んできた。
僕の前にアイスコーヒー、ルミちゃんの前にティーカップが置かれる。気候が暖かくなっても、ルミちゃんはホットドリンクを好むのだ。
僕は手をルミちゃんの頭ではなくテーブル横の備え付けの砂糖ポットに伸ばした。
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