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枯れた花び
暮れて、逝く日を追っていた。
夜が満ちたこの駅に街灯は、少し。
少しだけ。
「まるで、私が消えて仕舞ったみたいだ。」
微睡む様な風に泳ぐ意思。
消えかかった街頭がそれと連動している。
枯れた花びら、揺れた菊の葉。
やがて、花火が照らした。
土が赤くひかっている。
最初から花火を見ていればよかったなんて、
分かっていたことだ。
何時までもあの日の花弁を握り締めたとて
君がもういない事もわかっていたのに。
私には七色に変化する一片を手放す勇気が無かったのだ。
枯れていることだってわかっていた。
無理なこともわかっていたよ。
でも
「彩を浴びるくらいなら」
夏菊と、私は終着駅に舞う。
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