赤く 黒く

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 私の動かない体がぶるりと震えた。 「…あなたが私へのプレゼントなの。」  目の前に火花が散った。  なんとか状況を把握しようと視線だけを動かすと、ショーンさま、ウィレム、アン、セロンが私を見下ろしている。 「いっときは逃がそうと思ったのだけど考え直したの。  それに、エリオットにも、もうは終わりにしてほしかった。  でも、考え直したのよ。  だって、あなたショーンに恋をしたでしょう?  やっぱり…許せなかった。」  聞いたことのない氷のような声。横でくすくす笑うショーンさまの気配を感じる。 「嫉妬してくれたんだ。」  ジェシカさまの「ふふっ」という笑い声が漏れ聞こえる。 「知らないままというのはかわいそうだから、最後に教えてあげるわね。  私たちは約100年前に作られた唯一無二のバイオリン曲と、唯一演奏できる奏者をこの世に残さなければならないのよ。」  それは…。 「そう、あの曲は作った本人しか演奏できないの。」  ジェシカさまはうっとりとした顔で言う。  で、でもショーンさまは18才のはず。 「作曲したのはエリオットという名前だった。その次はカイル、そしてレイ、今はショーン。 私はシェリル、ハンナ、ジェシカ、…次はマリエル…かしら?」  戦慄が走った。
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