天からの才能

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天からの才能

 次の日、執事から仕事の説明を受けた。 「奥さまのお食事の時にそばにいていただき、奥さまの要望に従って動いて、お薬を忘れないように。  それとお手洗いと入浴の介助。今はまだ自力で移乗できますが、体力を使われますので。  家事については食事の準備の補助と食後の片付けと皿洗いぐらいで、掃除は通いの家政婦がするので必要ありません。  奥さまのお休みの時は庭の掃き掃除ぐらいはしていただきますが、基本は奥さまのそばで話し相手になっていただければ結構です。  あと、1ヶ月に一度、お医者さまが奥さまの往診にいらっしゃいます。その時の準備などをお願いします。  なにか質問は?」 「あの、ネットって繋がりますか?」 「繋がりません。  奥様もショーンさまも静かな環境をお望みで、こちらにいる間はネットをお使いになりません。」 「…そうですか。わかりました。」 「ほかに質問は?」 「また思いついたらお聞きすると思います。」  手帳を閉じると、ウィレムが思い出したように言った。 「ああ、お屋敷の中はご自由にしてもかまいませんが、なにせ迷路のように入り組んでいるのでね。  無駄に動き回らない方がよろしいですよ。」  なにか含みのある話し方だったが、用もないのに人の家をうろうろする趣味もないので「わかりました。」と返事をしておいた。
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