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新しい仕事
私、マリエル・パーカーは意気揚々とその田舎町の駅を降りた。
昨年両親を事故で亡くし、保険金のおかげで大学を卒業したものの、その保険金が原因の親戚の争いに巻き込まれ疎遠となった。
若く知識もなく、両親の死のショックから立ち上がれなかった私は、後から思えば理不尽な形で大切なお金を巻き上げられたのだ。
それまで波風立てずに交流していた親戚たちの豹変ぶりに驚き、失望した。
悔しいが、あの親戚たちと再び闘う気力はない。
しかし生活するためにはお金が必要だ。
そうして行った職安で一つの仕事を紹介された。
今、世界中で活躍しているバイオリンの貴公子『ショーン・アクレス』の住み込み家政婦。
クラシックに疎い私でも知っている超有名人だ。
金髪碧眼の王子様のようなバイオリニスト。
住んでいるのが辺鄙なところで、住み込みで働くのを嫌がる人もいるとのことだった。
しかし、私にとっては願ったり叶ったりだ。
住むところも確保できるし、煩わしい親戚たちに会うこともない。
それに、友達と騒ぐのもしんどい私は、今までとは全く違う環境に身を置きたいのだ。
すぐに紹介してもらい、鉄道を乗り継ぎ半日かけてたどり着いた。
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