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２
僕の名前は、西浦輝。
母と年の離れた姉二人、使用人と、女性ばかりに囲まれ、何不自由なく、裕福な家庭で育った。
父は元々いなかったけれど、寂しくはない。
だって、大げさにおどけたり、ちょっとしたいたずらをしたりすると、みんなが頭を撫でて可愛がってくれたから。
そんな僕にも、最初の試練が訪れた。
エリートばかりの小学校に通い始めたころだ。
みんなお金持ちで身なりが美しく、賢いのが当たり前。
僕はこれまで家の中でたった一人の特別な男の子だったけれど、一瞬で大勢の中の一人になってしまった。
「こんなのは僕じゃない。これでは駄目だ。これではいけない」
僕は、流行りの芸人のギャグやトークを完コピして、クラスメイトに披露するようにしてみた。
みんな勉強ばかりの連中だからね。
「お前、天才だろ！ 」、「面白すぎる！ 」と瞬く間に人気者となり、僕はまた「たった一人」の存在に戻れた。
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