呪いのチェキ

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呪いのチェキ

「中学の時、イジメられたヤツらだよ」 『え、中学の時、イジメられた?』  賀茂は聞き返してきた。 「ああァ、そうだよ。体操着の入ったバッグに腐った牛乳とか入れてきたヤツらさ。おかげで臭くって堪らねえェぜ。親にも相談できなかったから、自分で洗濯したんだよ。他にもイロイロあったんだ。あいつらのおかげで散々な中学時代だったんだよ」 『ふぅん、そんなことが遭ったのか。っでェそいつらを『呪いのチェキ』で撮っても何も起きてないのか』 「さァな。別にボクは私立探偵じゃないんだ。年がら年中、アイツらの尻を追いかけているワケじゃないからな。どっかで不幸になってるかもしれないけどな」  ヒロキは嘲るように鼻で笑った。 『ぬウゥ、そうかもしれないが』  その時、ネットニュースの着信音がした。 「悪いな。ちょっと賀茂(カモ)。また後でかけ直すよ」  北原ヒロキは賀茂との通話を切り、ネットニュースを確かめた。  地元の美浦市で事故のニュースだ。 「え、事故……?」  元ヤンキーたち四人の乗った車が事故に遭ったらしい。 「ううゥ、まさか……?」  ネットニュースには詳しく報道されていた。  今朝、未明、美浦市の国道16号線でスピードの出し過ぎで取り締まろうとするパトカーを振り切り逃亡途中、トラックと接触し車は横転し、一人死亡。残る三人は重態と発表された。なお運転していた男性の呼気からは基準値を越すアルコールが検出されたとあった。 「まさか、四人とも酒飲み運転で?」  北原ヒロキが『呪いのチェキ』で盗撮したヤンキーたちだ。 「マジか……」ニュースを見ても信じられない。  すぐ北原ヒロキは賀茂に連絡をした。 『もしもし。どうした。ヒロキ?』 「ああァ、賀茂。悪いけど今、ちょっと時間があるか」 『時間、ああァ、電話をするくらいならあるけど、なんだよ?』 「ついさっき、イジメられたヤンキーをあの『呪いのチェキ』で撮ったって言ったよな」 『ああァ、まさか?』
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