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恥ずかしい。情けない。頭も心もぐちゃぐちゃになりながら口を開く。
「し、してないです……」
「声が小さくて聞こえないな」
「っ、し、してません……ペニス、勃起できない……」
羞恥に声を震わせながらか細く答えると、先生はますます訝しげな顔をする。
「体調にそこまで影響が出てるのにどうして他の人とプレイしようとしないの?その人と付き合ってるとか?」
「いいえ……」
ふるりと小さく首を振ると、先生の手が輪郭を辿って頬を包んだ。
「本当に?付き合ってないのに、ずっと一緒にいるの?」
痛いところを指摘されて、思わず涙腺が緩みそうになる。
「付き合ってなんか、いません……相手の人にはNormalの婚約者がいるから……」
どうにか紡いだ呟きは、消え入りそうにかすれた。
「相手はプレイメイトと恋人を同一視しないタイプなんだね。首輪もしてないし、Claimの話が出たこともない?」
首を縦に振ると、先生は「気にしなくて良いよ。所詮Claimなんてその場しのぎの口約束でしかないから」と言った。
「くち、約束……」
「Claim自体に法的な拘束力はないからね。熱を上げたDomの言葉を間に受けて、家も職も捨てたSubが路頭に迷うなんてよくある話さ。結婚しているなら話は別だけど」
紡がれた言葉を受け取る間もなく、意識が白く混濁して何も考えられなくなる。代わりにじわじわと快感と焦れったさが蓄積して、肌に触れる体温に、もっと触ってと思わずねだってしまいそうになる。
「ねえ、遥人くん。僕は君の力になりたいんだ」
「せん、せ……」
「だから君が悩んでいることを、私に話してくれないかな」
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