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そこで初めて先生の声音に険が宿った。怒気を孕んだ気配に身を震わせると、はっとした先生が宥めるように俺に触れる。
「ああごめんね。でも、同意のないプレイは暴力、犯罪と一緒なんだよ」
プレイは事前に話し合って、セーフワードを決めて、お互いにやりたいこととやりたくないことをちゃんと擦り合わせてからやるものだろう?と先生は言う。
「セーフワードを決める前に命令されたの?」
「は、い……」
俺が返事をすると、先生は難しい顔をしてため息を吐いた。
「そっか。遥人くんは、初めてでレイプされちゃったんだね」
「れ、っ……」
出てきたあけすけな言葉に目を瞠る。俺をじっと見る先生の目とかちあって、視線から逃げるようにさっと目を逸らす。
「そんなことがあったんじゃ、Domが怖くなっても仕方ない」
「ち、ちがう、そんなんじゃ……」
否定しようと立ち上がってよろめいた体を先生が抱き止める。
「立てる?」
体に力が入らない。たずねられて力なく頭を横に振ると、先生は「ちょっと効きすぎちゃったかな」と言って俺の体を抱き抱え、
「こっちに移動しようか」
と、奥のカーテンを引いた。
「え……」
そこにあったのは、保健室にでもありそうな無機質なデザインの、しかしそれにしては妙に広いベッド。
二人分の体重が乗ったベッドがぎしりと重たい音を立てて軋み、ベッドの上に体を横たえられる。
「続きはこっちで話してくれるかな」
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