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「……シュウジさんに酷いことされてるの?」
「ちが……」
「命令されて、セーフワードも言えずに無理矢理言うことを聞かされてるんじゃない?」
「ち、ちがう!そんなんじゃ……。しゅうじさんがすることなら、なんだってうれしい、し……」
そう切れ切れに答えると、先生はいたわしげな目で俺を見つめ、諭すような声音で言う。
「自分が何をされたかわかってないんだね」
「え……?」
「Subは一度プレイしたことのあるDomに対して警戒心が緩むんだ。それどころか、プレイの快感を覚えたSubの脳はそれを生存に不可欠なものだと認識して、依存の閾値が下がるんだよ」
「いき、ち……?」
「二度目のプレイでより深い快感を覚えて、プレイなしではいられない体になる。そしてその快感を与えてくれるDomに深く依存するようになるんだ」
耳元で先生が囁く。湿っぽい熱い吐息が耳朶に触れる。
「意識のないSubにコマンドを与えて、警戒心が緩んだところを手懐けて性欲の捌け口にする。立派な犯罪だよ」
「ちがう!」
引き攣った喉から切り裂くような声が出た。息を乱しながらしゃくりあげるようにして言葉を紡ぐ。
「ちがう……しゅうじさんはそんなのじゃない……」
「遥人くん」
「ちがう……ちがう……、だって」
初めは"おすわり"にすら抵抗があった。人間のくせに犬の真似事をすることがいかにもSubらしくて嫌だった。Subのくせに基本中の基本コマンドであるKneelを嫌がる俺に、柊二さんは怒りも呆れもせず、それどころかおすわりの代わりに俺を柊二さんの膝の上に座らせ、プレイの間じゅうただただ俺の話に耳を傾けてくれた。
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