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──名前を呼ばれたら、Lookだよ。
遥人、と柊二さんに名前を呼ばれるのが好きだった。柊二さんの膝の上で柊二さんに見つめられている間だけは、素の自分で息ができる気がした。
始まりがどこだったかなんてわからない。柊二さんは俺を膝に乗せたまま、いつしか俺の体に触れるようになった。俺はそれを拒まなかった。むしろもっと触れてほしいとすら思っていた。
そして、いつの間にか自ら自分の体を全部柊二さんに差し出すようになっていた。
「ほ、ほんとです。されてません、ひどいことなんて、なにも……」
「だったらどうして、他のDomとプレイするのを嫌がるのかな?」
「そ、れは……」
「シュウジさんとのプレイが本当に心地いいものだったなら、遥人くんは今頃プレイが大好きになっているはずだよね?」
先生の指先がとん、と胸に押し当てられる。
「遥人くんの心は本当は傷付いてるんじゃないかな。だからDomが怖いんだ」
「……ち、ちが、ちがう……。まって、きいて、せんせい……」
「Strip(脱げ)、present(晒せ)、lick(舐めろ)……そういった性的なコマンドを使われたことは?」
俺が息を詰めた瞬間、先生は目を細めた。
「──あるんだね」
何もかも見抜くような目に心臓が早鐘を打つ。先生は俺の両手首をベッドに押し付けて拘束すると、低い声でたずねた。
「シュウジさんとは、どんなプレイをしてるの?」
「べ、べつに、ふつうです、ふつうの……こと……」
「普通のことなんだったら言えるよね。先生に教えてくれるかな。普段遥人くんがシュウジさんとどんなことをしてるのか」
「う……」
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