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有名人の熱愛報道で柊二さんの恋人の名前が上がるたび、内心どこかで期待していた。いつだって柊二さんの様子は変わらなくて、どんなときもその視線は俺に注がれていて、だから柊二さんに触れられるたび、愛おしげに名前を呼ばれるたび、叶うことはないとわかっていながら、もしかしたら柊二さんが俺に向ける執着に何か違う意味があるんじゃないかと自分に都合のいい期待をするのをやめられなかった。
柊二さんが好きだった。
だから全部が欲しかった。
柊二さんが婚約してからは、Subとして寵愛されることに執着するようになった。Subの俺にしか見ることのできない柊二さんの顔。きっとNormalの婚約者には一生見せることはないだろう、優しくて穏やかな柊二さんの嗜虐的な一面。それ以外、俺にはもう縋るものがなかった。
だから。
「い、いいっ……おなほでも、いい……」
たとえそれが愛でなくても、俺にだけ向けてもらえるものならば。
「でも、シュウジさんはきっと別のSubともプレイしているよ?」
「え……」
けれど返ってきた言葉は思いがけないものだった。冷や水を浴びせられたかのように、体が硬直する。
「だってそうだろう。二週間に一回っていうのはその頻度でプレイしていればSubがサブドロップを起こしにくいとされている回数で、Domの欲求を解消するにはとても足りないんだ」
「そ、んな……」
「Domの欲求不満は君たちSubのように命に関わることにはならない。けれど、だからといって我慢できるものでもない。だからDomはClaimしてお気に入りのSubを手元に置くんだ。二週間に一度なんて頻度で我慢するのは禁欲主義者くらいのものだよ」
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