#5 秘密

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「でっ、でも……でもっ!しゅーじさん、おれだけ、おれだけっていった……!Subはおれだけだって……だから、だからっ」 「そんなのありふれたDomのリップサービスだよ。まさか、それを本気で信じてたの?」 「っ……」  突きつけられる事実に絶句して、ただはらはらと涙を流すことしかできない。 「シュウジさんだってやってる。Domだけじゃない、他のSubだって。みんなやってる、普通のことだ」  だから、ね?と先生は誘いかける。俺は茫然としながらそれでも首を横に振った。 「だ、だめ……。できない……」 「強情なSubは愛されないよ。Domに愛される素直でいい子のSubになろう?」 「あ、あいされなくてもいいっ……あいされなくてもいいから……」  だから、柊二さんがいい。そう泣きながら答えると、先生は俺の体を再び半転させて仰向けにした。 「どうしてそんなにシュウジさんにこだわるの?弱みを握られて、脅されたりしてる?」  力無くふるふると首を横に振ると、先生はさらに思案顔になった。 「だったらどうして?」 「き、きかないで……これ以上……」  これ以上心の内側に入られたくなくて、両腕で顔を隠そうともがく。  だってこれはあの日から秘密にすると決めたことだ。ずっと自分の心の中だけに留めておくと決めた。 「世の中にDomはたくさんいるのに、どうしてその人だけにこだわるの?」 「せんせい、おねがい……。おれのことはいいから、もうほうっておいて……」  どうかこのままそっとしておいてほしい。そう思って訴えるけれど、簡単にいなされてしまう。
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