81人が本棚に入れています
本棚に追加
「二週間に一度の約束なのに、悪かったね。先週は記念日でさ」
素朴な顔立ちに似合わない身長の高さは、彼にいっそう気弱そうな、ひょろりとした印象を与える。身長に比例して長い指から銀色が引き抜かれて、サイドテーブルのハンカチの上に置かれた。俺と体を重ねる間必ず指輪を外すのは、恋人へのせめてへの礼儀だと言う。彼はそのまま、ベッドに腰掛けた。
「“Come”」
呼ばれてようやく、部屋の入り口に立ち尽くしていた俺はベッドの側に寄る。
「“Kneel”」
見えない糸で操られているように体が自然と動いて、俺はぺたりと彼の足元の床に座り込んだ。優しい手が俺の頭を撫でる。うっとりとした気分になって目を閉じていると、「可愛いね」と声が降ってきて、期待と興奮で息が上がる。
「はっ……♡はっ……♡」
そんな俺を見て、彼はその瞳に嗜虐的な色を滲ませた。
「遥人、“Lick”」
眼前に手を差し出されて、俺は目を閉じぺろぺろとその指先を舐める。俺に触れてくれる大好きな指。それを口内へと含んで、爪から指の股まで唾液を絡ませながらしっとりと舌を絡めた。
「んっ、んぅ……♡ふぁ……っ♡ぁっ、ぁっ♡」
そんな俺を笑うように、口の中の長い指が俺の舌をなぞり、上顎を擽る。それだけで感じ切った声が漏れた。
「もうやらしい顔してる……。指舐めて発情しちゃった?」
まるでこちらのことを動物か何かだと思っているかのような質問。でも、こんな前戯とも言えない戯れだけでどうしようもなく興奮しているのは事実だった。俺が熱っぽい視線で見上げると、彼の口端が満足げに上がる。
「“Strip”、そして僕に見せて。遥人の発情してるところ」
唾液で濡れた指先が口内から引き抜かれるのを目で追いながら、俺はシャツのボタンに指をかける。ぷち、ぷち、とボタンを外す手が震える。
「もう乳首立ってるね……」
指摘されて、羞恥に肌がざわめく。上も下も脱ぎ捨てて全てを曝す頃には、俺はこの人に支配されることしか考えられなくなっていた。
最初のコメントを投稿しよう!