81人が本棚に入れています
本棚に追加
この人にはNormalの恋人がいる。生まれた時からの幼馴染みで、高校時代から付き合っているらしい。
DomもSub同様、欲求不満に陥ると心身を病む。抑制剤を飲んだところでその効果は欲求を抑えるのに留まり、欲求自体がなくなることは無い。そしてその欲求はSubとプレイすること以外で解消されることはない。婚約するにあたって、彼の恋人とその家族は、生理現象ならば仕方がない、欲求を発散しないと心身に問題が出る以上、病院で対症療法を受けることと何ら変わりがないと俺との関係を納得することにしたらしい。なんて理解のある物分かりのいい優しい婚約者だろうか。涙が出そうだ。
「は、早く挿れて、なか、もう我慢できな…っ」
俺の唾液とローションを纏った指が俺の中を暴いて動き回り、ぐちゃぐちゃと下肢から濡れた音がする。
「堪え性がないね、そういうところも可愛いけど…」
「あっ♡あっ♡ああっ♡やっ……もう、焦らさないで、挿れてくださ……っ♡♡」
「このままじゃイっちゃう?」
問われて、こくこくと何度も首を縦に振る。この十年でこの人によって開かれてきた体は、その指一本で、与えられる言葉一つで、視線一つで、簡単にとろとろのぐちゃぐちゃになってしまう。
「イってもいいよ?」
言葉とともに中を抜き差しする指の動きが前立腺を的確に擦り上げるものに変わって、俺は目尻に涙を浮かべながらいやいやと首を激しく横に振った。与えられる快感に耐えて、本当は今にでも達してしまいそうなこの体をどうにか押し留める。イくときはこの人の熱と質量を中で感じてイきたかった。
「嫌なの?」
「やだ、やだ、指でイくのやだぁ……っ♡♡」
「そう…。じゃあおねだりできるよね?“Crawl”」
俺は言われるまま、四つん這いになって足を大きく広げ、尻を高く上げる。
「ちゃんと見せて、どうして欲しい?」
問われて、興奮で目の奥がチカチカする。枕に頭を擦り付けながら、俺は獣じみた吐息を漏らした。
「はーっ…♡はーっ…♡」
「ほら、言ってごらん?して欲しいこと全部してあげる」
子どもをあやすような手つきで、彼が俺の後頭部をふわりと撫でる。
最初のコメントを投稿しよう!