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ほんのり甘くて、トロッと溶けてしまうプリン。
「……」
「え!?メリッサ!どうして泣いてるの!?」
プリンをすくいながら、メリッサは泣き出してしまった。
「…ちがう…違うの…。すごく美味しいけど、これじゃないの…」
涙はあふれて、ポロポロとこぼれた。
「──ねえ、どうしてプリンを食べているのに、私泣いているの?
どうして食べていないぴっぴがしあわせそうなの?」
「うーん…」
ぴっぴは困ったように笑っている。
「プリンを食べるとしあわせになれるけど、それはメリッサの欲しいしあわせだったのかな?」
「……?」
「しあわせには種類があるよ。行き着く先の感情は全部同じ【しあわせ】だけどね」
「……よくわかんない…」
美味しいプリンに何か満たされたけれど、ある意味しあわせではあるけれど、なにか満たされない感情があるのは確かだった。
「私もしあわせに…なりたい…。しあわせが欲しい…」
「じゃあ、僕がしあわせをよく貰うお店に行ってみるといい。シルファールのお店だよ。
きっと何か見つかるから」
ぴっぴはにっこり笑った。もう、不機嫌ではない。
「ありがとう。行ってきます」
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