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シルファールのお店はケーキ屋さん。
お店の中は甘い香りで充たされている。
「いらっしゃい、メリッサ。今日は何を買いに来たの?
…え、しあわせ?しあわせって…しあわせ?」
シルファールはちょっぴり困ったように顎をなでた。
そんなの無いだろ、冷やかしは困るよ、と言ってやろう。
シルファールは顔を上げた。
しかし対するメリッサは至って真剣。瞳にはうっすら涙すら浮かべている。
「え、あ──う、ちに売ってた?」
「…わかんない」
言うや否やメリッサが泣き出してしまった。
「わー!泣かないで!!な、なんでうちに来たの!?」
「ぴっぴが、シルファールに聞いてみろって…」
「(評論家め、適当なことを…)」
どうしよう、と頭を抱えた。
そもそもしあわせって店に売ってるものじゃないだろ。
あれか?ケーキを食べて幸せ、ってアレ?
「特製プリン、食べる?」
「さっき食べたよ」
「……しあわせになれた?」
「なれたけど、それじゃないの…」
「う、うーん…」
メリッサとシルファール。
店内の二人はなぜか泣き出しそうな顔で向かい合っていた。
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