新米局員、クロード

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局長は想像していたよりも、かなり若かった。 茶髪ロングのゆるふわカール、いかにも品のいいお姉さんといった容貌だ。 見た目から推測できる年齢は、20代後半から30代前半。 勝手ながら、局長というともっとお年を召した方がやっているのだと思っていた。 彼女が纏っている雰囲気も決して威圧的ではなく、どちらかと言えばかなり親切さ感じられる。 「じゃあ、本当に早速だけれど、まずはこのレリア魔杖管理局について説明していくわね」 そう言って、この魔杖管理局の概要を記した分厚い資料を取りだし、説明してくれた。 近年俺らの住む魔法界では、魔道具の粗悪品が出回り、詐欺や企業と消費者とのトラブル等、様々な悪影響を及ぼしている。 それは今や社会問題として、しばしば取り沙汰されているほどだ。 そこで有志のお偉いさんの魔法使い達が、「魔道具管理機関」なるものを設立し、魔道具に関する取締を強化し始めたのだ。 最初は民間の機関として存在していたが、現在は公的機関として国からしっかり支援を受け、活動している。 その中の1つに、このレリア魔杖管理局がある。 ここはその名の通り、に焦点をあて、品質管理、企業の監視、取締、指導などを行う機関である。 まあ、つまるところ、杖に関する不正を取り締まる、そういったお役所仕事が業務の中心となっている。 「ざっくりお話しすると、こんな感じね。もっと細かいことはたくさんあるけど、それは少しづつ覚えてもらえればいいわ」 「はい。分かりました」 「じゃあ、早速2階の事務所の方に行きましょう!クロードくんの仲間たちも紹介しないとね」 レリア局長は立ち上がり、テーブルの上に散らばった資料を俺の肘の上にドサッと置いた。 バランスを崩し、あわあわしている俺を他所に彼女は部屋の外へと歩みを進める。 「あ、後ね」 「はい?」 彼女は何かを思いついたように、ワンピースの裾を翻し、くるっとこちらに振り返る。 「クロードくんには早速、特別なお仕事用意してるからね」 いたずらっ子のようにそう言い、パチッと音がするくらいの特大ウィンクを俺に放った。 「…頑張り、ます」 俺のぎこちない返事に、レリア局長はふふっと微笑む。 「さ、行きましょう!」 その言葉を後に、俺たちは部屋を出た。
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