2人が本棚に入れています
本棚に追加
そんな二年間を経て、雄大はユースチームに入った。
トライアウトテストに見事合格したのだ。
俺は――……。
現実はやっぱり厳しい。
さっきの試合みたいにまるでドラマティックではない。
「クソッたれ……。やっぱバスケは面白くない」
まだ夢見た経験は果たせていない。
でも、確実に惜しいところまで来ている気がするのだ。
「『諦めたら試合終了ですよ』」
母さんはニンマリと悔しがる俺の隣で笑っている。
くそムカつく。
俺にバスケを体験させた悪魔め。
けれど、仕方がない。
だって、もしも次の章で拝めるのだとしたら?
熱く滾るような面白さと出会っているのだとしたら?
クソッ……辞められるかよ。
「(夢は)ザ、ビックゥゥゥゥ!!!」
俺は歓声に紛れて、勝鬨の声を上げていた。
――fin.
最初のコメントを投稿しよう!