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二年前の春――。
制服って、正直いらなくない?
無くていいのにと、カッターシャツのボタンの煩わしさに顔を顰めていた。
自慢じゃあないが、俺はジャージしか着たことねぇのに……。
更には着心地の悪い、ぶかぶかの丈に袖を通す意味の無さ。
ウエストはベルトを限界まで引き絞っておかないことにはずり落ちる。
つぅか、穴が足りなくて桐で無理やりに穴を空けた。
「中学って……だりぃ」
入学早々に溜息が漏れた。
ー*ー*ー*ー*ー*ー
真新しい体操服を着た一年生が雁首を揃えて、体育館に集う。
そのお目当てはバスケ部だった。
野球部、それにサッカー部よりも入部希望者が多いことに、小さくガッツポーズ。これは快挙だ。
小学校以来の見知った奴らと話し込みながら、目ぼしい奴がいないかと、俺は見渡していた。
そして、探すまでもなく、抜きんでて突出している男に目を奪われる。
「でけぇ……何センチあるの?」
俺の頭二個分以上は裕にある。
「最後に測った時は、170センチはあったよ」
今はそれ以上にあるのは確実だろう。
「バスケ経験者?」
「いや、小学生の時はサッカー。でも、つまんなくてすぐ辞めたけど……」
顔つきや骨格を見る限り、運動オンチでもなさそうだ。
「ふぅん、そんなけ身長あるんだし、直ぐにエース張れるかもよ?」
ゴール下に立たせてのポストプレーを頭に描き、俺は面白いバスケが出来そうだと期待を寄せていた。
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