1人が本棚に入れています
本棚に追加
言えなかったのよ。
ずっと、ずっと…。
私が悪いような気がして…。
ねぇ、先生…
ねぇ、先生たち…
昨日も今日も新聞に載っているの。
学校の先生や病院の先生の性的虐待の記事が。
あなたたちの秘密、公にしましょうか?
もう、時効ですって?
そのくらい承知していますよ、もちろん。
でも、あなたたちの周りの人たちはどんな受け取り方をするかしらね。
今さら?
そうね。
私も知らなかったの。
自分が少しずつ、でも確実に強い人間になっていくってことを。
あの時は真面目で大人しい優等生だったものね。私は。
ねぇ、先生。
あなたは夏休み、お前は才能があるから個人的に教えてやるって言って、蒸し暑い教室に私を呼び出したわよね。
ねぇ、先生。
あなたは眼科の医者のくせに、診察の度に私をいつも最後の順番にして、眼球を見ながら、親指で私の唇を触り続けたわよね。
どうしたの?先生たち。
随分、顔色が悪いわよ。
もっと詳しく思い出させてあげましょうか?
それとも、買い取ってあげましょうか?
あなたたちの秘密を。
変わるのよ、人は。
女の、たったちっぽけな子どもだって。
変わるのよ、私は。
あなたたちが卑怯者だって知ったから。
変わるのよ、私は。
告白することで、救われる人がいるとわかっているから。
変わるのよ、社会は。
私みたいに恥を晒して誰かを助けたいと思う人ががいるから。
きっと…いつか…必ず…
最初のコメントを投稿しよう!