はこのにえ

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はこのにえ

 しきたりなんて迷信だと信じていたし、不幸なんてものは小説や漫画の中のフィクションだと思っていた。  そりゃ映画のようなドラマティックな運命に翻弄される人間もいなくはないだろう。だがそれは平凡な俺ではないし、普通を絵にかいたような我が家とは微塵も関係がないはずだ。  本当に、そう思っていたのだ。  あの日、実家の母親から電話がかかってくるまでは。
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