2 ― WANKO SOBA 延々と永遠に

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いると言っても、学生のあたしが綴と暮らせるわけはもちろんなく、会えるときに会って、おはよう、おやすみを送りあうという具合。 ママはそういうことには寛容だったけれど、さすがにしょっちゅう外泊はできないし、いまだってママの遺骨が家にあるのに外泊する気にはなれない。 納骨してもそうだろう。 学生でいる間はそこまで自由にはできない。 誰に怒られるわけでなくても。 こういうものは染みつくんだろうな。 あたしが母親をママと呼ぶのも、ママが「お母さんって呼ばないで。ママがいい。ママじゃなきゃ返事しない」と拗ね続けたからだ。 すっかりママと呼ぶことが染みついてしまった。 たしかにママには「お母さん」という言葉が似合わなかった。 それは無責任だとか非常識だってわけじゃなくて。 「で、どうだった? 二回目の食事は」 「まだ訊くの?」 うんざりしてため息をつくと、綴は頭をぽんぽんと撫でた。 綴の涼やかな目を見つめながら、あたしはチカくんの目を思い出す。 虚ろで行き場がなくて、なにかを諦めたような瞳。 雨に打たれてびちょびちょの段ボールの中で、くぅんとすすり泣く子犬だって、もう少し生きる気力のある目をしてる。
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