2 ― WANKO SOBA 延々と永遠に

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あのやわらかそうな乳に惹かれないんだ、この人。 それが綴の第一印象。 女のあたしですら魅力的だと思う乳だった。 こんなことを考えてしまうのは、いまの世の中では怒られてしまうのかもしれないけれど、あそこまで乳を出されていたらなにも感想を抱くな、という方が無理である。 ――ありがとう、助かった。なに食べてるの。 ――海老のすり身を、なんかしたやつ。 ――名前は? ――いち花。 ――どういう字? ――平仮名のいちに、簡単な方の漢字の花。 ――いち花ちゃんか。いち花ちゃんは、なにしてる人? ――大学生。 ――じゃあ、俺とあんまり(とし)は変わらないか。いいな、学生か。 ――まあ、悪くは、ないと思う……。 ――いち花ちゃんさ、うちのバンド知らないし、興味もないよね。 あ、怒ってないよ。そういうのはぜんぜん、どうでもいい。 ――なんでわかったの? ――なにも訊いてこないから。 訊かれてないけど、自己紹介してもいい? 覚えなくてもいいから。 その日から、あたしは綴といっしょにいる。
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