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「そういうの、食べなさそうに見える?」
「そりゃあ……。そう、見えるよ」
「そうか」
チカくんはなにもわかってなさそうに相槌を打ち、前髪を耳にかけた。
額が現れて顔周りがすっきりしたものの、落ち窪んだ眼窩がじゅうぶんに顔に影を落としている。
前に会ったときよりも頬がこけて見えるのは、あたしの気のせいだろうか。
真夏だというのにいちばん上のボタンまできっちりと留められた長袖の白いシャツだけが、わずかな光沢を放つ。
明度も彩度も失った世界の住人のようなチカくん。
とてもパフェを食らう風貌じゃない。
「やっぱり、まだ信じられないな。輝子さんにこんなに大きな娘さんがいた、なんて」
あたしを通してママを見つめる、チカくんの瞳。
ママへの愛がきゅうきゅうに詰まったそれは、うるうると潤んでは真っ暗闇に沈んでいく。
今日は泣かないでくれるのかな、三十七歳の赤ちゃんは。
「チカくんは、ママに怒ってないの?」
「おれが輝子さんに怒る……?」
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